離婚後300日以内に生まれた子は全国で年間約3000人と推定されていますが、「前夫の子」として出生届を出した件数などは「把握できない」ようですが、300日規定が実態に合わないケースが多いようです。
実態に合った法改正が待たれます。
◆[300日規定]半数以上が「現夫の子」 実態を反映せず
離婚後300日以内に生まれた子のうち、半数以上が「現夫の子」とみられることが、毎日新聞の自治体調査で分かった。実際は「現夫の子」が多いのに、離婚後300日規定が「前夫の子」を事実上強要していることを示す結果だ。実態を反映していない規定の存在意義が改めて問われそうだ。
調査は、道府県庁所在市と政令市、東京23区の全219市区が対象。離婚後300日以内に生まれた子の出生届で、「現夫の子」と主張した件数と、「前夫の子」を親が納得して受け入れた件数を比較した(概数での回答を含む)。 その結果、東京都大田区では、前夫の子に納得したケースは「ない」としたのに対し、通達で現夫としたのは4件、現夫とするため裁判手続きなどを取ったのは「5件以上で10件より少ない」と回答するなど、多くの自治体で現夫の届けが上回った。
一方、堺市南区は、前夫の子に納得したのが「5件以上で10件より少ない」、現夫とするための裁判手続きなどを取ったのは「5件より少ない」、通達で現夫としたのは1件と回答。前夫の子に納得したとする方が多い自治体もあった。
概数回答の「5件より少ない」は2件とし、「5件以上10件より少ない」は7件とするなど、中間の数字で計算すると、通達と裁判などの手続きで「現夫の子」としたのは329件、「前夫の子」に納得した届けは211件で、「前夫の子」は、「現夫の子」の3分の2程度にとどまった。
また、「前夫の子」について概数回答の「5件より少ない」は4件、「5件以上10件より少ない」は9件と、最大の数字で計算すると337件となり、この場合でも「現夫の子」とほぼ同数となった。
法務省は昨年、法務局や家庭裁判所を通じた実態調査をし、離婚後300日以内に生まれた子は全国で年間約3000人と推定。しかし、規定通り「前夫の子」として出生届を出した件数などは「把握できない」としている。
法務省民事局は「調査結果のような実態があるとすれば、規定について法の精神に抵触しない範囲の改正が考えられるか検討が必要だ」と話している。
◇規定の見直し求める声
調査結果について、専門家からは規定の見直しを求める声が出ている。
家族法に詳しい棚村政行・早稲田大教授は「前夫の子として届けた人は、本音は不承不承届け出たのに、窓口の担当者が事務的に受理した例も含まれるとみられる。前夫の子は実際はもっと少ないのでは」とみている。
300日問題に詳しい榊原富士子弁護士は「一律に前夫の子と推定するのではなく、前夫が『現夫の子ではなく自分の子だ』と異議を申し立てた時に裁判手続きをする方が、当事者だけでなく、裁判所の負担軽減にもなる」と話している。
▽離婚後300日規定 「離婚後300日以内に誕生した子は前夫の子」と推定する民法の規定。父親を早期に定めて子供の立場を守る狙いがある。前夫以外を親とするためには、前夫を巻き込んだ調停や裁判で確定する必要があり、家庭内暴力などで前夫と連絡を取れない場合、出生届が受理されず子供が無戸籍となっている。法務省は07年5月、離婚後妊娠に限り、前夫以外を親とする出生届を認める通達を出した。全体の9割を占める離婚前妊娠は裁判などをしなければならない。ニュースソースはこちらPR
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