17人の生み親たちは、今頃どのような気持ちで毎日の生活を送っているのでしょうか?
預けた背景は色々あると思いますが・・・
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『赤ちゃんポスト:初年度17件 熊本市「命救う目的果たした」、設置意義強調 /熊本』
熊本市の慈恵病院が設置した「赤ちゃんポスト(こうのとりのゆりかご)」に、初年度の07年度(07年5月10日~08年3月31日)、17人の子供が預けられたことが20日、公表された。全国から預け入れがあり、手がかりを残した親も多かった。病院や、ポスト設置を許可した市など関係者は「緊急避難の目的は果たされた。設置の意義はあった」と口をそろえて評価した。
会見した幸山政史市長は、全国の自治体で妊娠相談体制を強化するよう国に求めたことを明らかにした。ポスト設置について「全国各地から利用があった。救える命があるという当初の目的は果たされていると思う」と述べた。
17人のうち、身元の分からなかった8人の子は県内で育つ。「市としても責任は重い。健やかに成長できるよう関係機関で連携したい」と話した。
慈恵病院の蓮田太二理事長も会見し、ポストの運営や24時間体制で相談を受けていることに「人的、経済的に(負担が)大きいが、それでも意義はある」と述べた。17人という預け入れ人数についても「(関東など)遠くからも預けに来た。日本に1カ所しかないことを考えれば多いとは思わない」と答えた。
身元がわからないままの子供たちの今後については「子供は同じところで育てるのがいい。里親や養子縁組など家庭で育てるよう取り組んでほしい」と要望した。
赤ちゃんポストの運用を検証している市要保護児童対策地域協議会「こうのとりのゆりかご」専門部会の部会長を務めた恒成茂行・熊本大大学院名誉教授は、報道陣の質問に「(ポストは)社会的なセーフティーネットの機能は立派に果たしていると思う」と答えた。
母親が残した手紙には、子供の誕生日や名前を記したものも複数あり「遺棄を助長するとか、安易に捨てたとは考えていない」と強調。情報公開については「現状が十分とは思わないが、公表するには母数が少ない。長期的に考えていく」と述べた。
◇知事「事前の相談体制充実こそ」
蒲島郁夫知事は20日「現時点で個々の数字についてコメントするのは控えたい」としながらも「現に、ゆりかごが利用され、県、市、慈恵病院への相談件数が急増していることから、事前の相談体制の充実が大事だと感じている」との談話を発表した。
◇幸山市長
主なやり取りは次の通り。
--17件という数字を多いと思うか。
◆評価は難しく、ありのまま受け止める。
--親の居住地判明分の中に県内からのものはなかった。
◆悩んでいる人が全国でいかに多いかということだと思う。
--親が子どもを引き取ったケースが1件しかなかったが。
◆あくまで緊急避難的な施設であり、親の引き取りが理想。もっと増えることを期待しており、家族はいつでも連絡してほしい。
--匿名だから命を救えたと考えるか。
◆その可能性はあるが、一方で子供の出自をはっきりさせてあげることも考えなければいけない。検討していくが、まず子どもの命を救うことが大前提。
--親が残した手紙から何を感じたか。
◆短い文章も長い文章もあった。つらい思いをしていることを読み取れるものもあった。
--公表項目は今回の16項目で十分か。
◆社会的検証をしてもらうために出来る限り公表しようと考えた。一方で、子供の人権やプライバシーを守る必要もあった。公表項目が妥当かどうか今後も検討していく。
--利用状況の公表は今後も1年ごとか。
◆基本的に1年だ。
◇蓮田理事長
主なやり取りは次の通り。
--当初は年に1人あるかないかくらいと予想していたが、17人が預けられた。
◆全国に深刻な悩みを抱えた人がいるということ。ただ予想は超えたが、決して多いとは思わない。年に1人程度というのはドイツ(のポスト)を想定していた。だが、私たちが視察した当時でドイツには70カ所あった。日本はここ1カ所だ。
--預けた親はどんな悩みを抱えている人たちなのか。
◆推定だが、悩みと苦しみ、罪悪感や悲しみ。そういうものがいっぱいあると思う。親の手紙の内容は話せないが、わずかに書いてある内容からも母親の思いは感じ取れる。
--反省点や課題はないか。
◆ないわけではないが、お話しできない。院内でよく検討したい。
--預けられた赤ちゃんを育てるうえで行政に求めることは。
◆乳児院や施設が深い愛情で子供を育てていることは分かっています。ただ、子供は家庭が最適。(里親の)家庭で育てられることができるよう取り組んでいただけたら。
--赤ちゃんポストの運用を続けるか。
◆そう思っている。社会全体で考えてもらいたい(問題だ)。
赤ちゃんポスト
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■ことば
◇赤ちゃんポスト
親が育てられない赤ちゃんを匿名で受け入れる。ドイツなど欧州で導入されている。慈恵病院は、窓の一角に設けた扉(縦45センチ、横64センチ)を開け、保温設備付きのベッドに新生児を預けてもらう。赤ちゃんが置かれるとブザーが鳴り、職員は24時間待機して速やかに保護する。預ける前に相談するよう呼び掛ける手紙も置いてある。安全が確保されていることなどから、利用しても刑法の保護責任者遺棄罪には当たらないとされている。
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