モンスターペアレント 富山・保育所の例

「モンスターペアレント」は今や流行語となってしまいましたね。
やはり、ネット上のコミュニティには積極的に参加するものの、リアルなコミュニティでの交流ができないのが原因のひとつではないかと・・・
また働く主婦と専業主婦、小学校に入ると保育所出身と幼稚園出身によっても全然違うと聞きます。
子供を育てる環境が多様化してきたということでしょうが・・・


富山・保育所のモンスターペアレント　／富山
　◇親になりきれていない親　行政、地域の子育て支援必要

　「朝食を用意して」「汚れ物を保育所で洗濯しろ」－－。保育所や保育士に理不尽な要求、苦情を寄せる保護者、いわゆる「モンスターペアレント」が増え、保育現場が対応に苦慮している。富山市が、市立保育所で実際に起きた６０件のケースを集め、弁護士の助言も付記して作成した「クレーム対応事例集」の内容の一部や求められる対策などを紹介する。

◇事例集から

　「おむつ交換に時間をとられ、会社に遅刻して処分を受けた場合賠償してくれるか」

　ある母親の連絡帳から。「保育士がいるのに、なぜ保護者がおむつを交換しなければならないのか」と。市や保育所に賠償を求めることができるのか▽「遅刻証明書」など法的に効力を持つ証明書が発行できるのか－－とも書いてきた。

　－－保育所に責任はなく、証明書も出す必要はない。

　「保育所が油性マジックで記名した水筒は東京にしか売っていないブランド品。弁償してほしい」

　子どもが遠足に持参した水筒に記名がなく、保育士が記入した。「インターネットオークションに出品できなくなった」と、弁償を求めてきた。

　－－保育所で所持品に記名するのはやむを得ず、弁償義務もない。
　◇こんなケースも

　ある母親は「給食に低農薬、有機栽培、無添加の食品を使ってほしい」「牛乳は豆乳に替えろ」「冷たいジュースは常温に戻せ」と、食品について要求が過大になっていった。

　別の保育所では、保育士が撮影したスナップ写真を見て、保護者が市役所にクレーム。子どもたちの並び方のせいでわが子の背の低さが目立つと指摘し、「保育士の配慮が欠けている」と息巻いた。

　保育料を支払わない保護者に督促すると、保護者が「担任を替えろ」と所長に迫ったケースもあった。
　◇現場の保育士は

　事例集に目を通した４０歳代のベテラン保育士は「あるある、と思うことばかり」と、しきりにうなずいた。「外車を買ったから保育料が払えない」「子どもを見る目が冷たい保育士を辞めさせろ」など、保護者の一方的な要求を目にしてきた。「これまで苦慮したことは数知れない」

　この保育士の経験では、これらの傾向が強まったのは１０年ほど前。「カウンセリング能力が不足している保育士がいるのも事実」と前置きした上で、「今は親が親になりきっていない」と指摘する。

　勤務先の保育所では意見ポストを設置し、連絡帳で保護者との連絡を密にするなど、信頼関係構築に努めているという。そのため、休憩時間のほとんどを連絡帳書きに充てなければならないという。「じかに顔を合わせる送迎時にコミュニケーションを図ることも重要だ」と明かす。
　◇周囲の支援

　幼稚園長経験がある生田貞子・富山大人間発達科学部教授（６３）は「若く未熟な母親の不安感が、狭い世界の中で増幅されていくのが原因」と分析する。かつては、子育ての悩みや問題は近所や家庭内で解決できたが、核家族で近所づきあいも少ない現代社会の中では母親が１人で抱え込んでいるという。

　生田教授は「周囲が自分のことを受け止めてくれている、と母親に感じさせることが大切」と、相手の話に耳を傾けることを勧める。子育てで悩む母親に絵本のボランティア活動を紹介したところ、ストレスが解消したことも。「自分のエネルギーを生かす場をアドバイスすることも一つの案」という。

　だが、保育士個人や、保育所側だけにさまざまな対応策を求めることにも限界がある。生田教授は「行政と地域社会が、適切なアドバイスができ、子育てに関する情報を持つ人のネットワーク作りを行うべきだ」と、保護者を取り巻く周囲の支援の必要性を訴える。


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